【脳活通信42】幸福の瞬間「おらおらでひとりいぐも」

いらしゃいませ。

ご訪問ありがとうございます。

あなたは、幸せを感じる時はいつですか？

モーリス・メイテルリンクの

「青い鳥」を引き合いに出すまでもなく、

幸せは日々の生活のここかしこにある！

と、人生を半世紀近く歩いてくると、

左脳では、受容できるのですか、

右脳では、需要できない私がいます。

と、過っては思っていました。

「おらおらでひとりいぐも」若竹千佐子（第158回芥川賞作家）

この本は、夫に先立たれ、

子供たちとは疎遠のままの

一人暮らしの主人公桃子（74歳）さん
という女性のモノローグ小説で、

グリーフケア小説です。

※モノローグ小説とは、登場人物の独白小説のこと。
※グリーフケアとは、《グリーフ（grief）は、深い悲しみの意》
身近な人と死別して悲嘆に暮れる人が、
その悲しみから立ち直れるよう、そばにいて支援すること。

「おらおらでひとりいぐも」若竹千佐子（第158回芥川賞作家）

63歳の著者は新たな「老いの境地」を

「老いること」と身近な人を失う「喪失感」を

時折り東北弁を織り交ぜながら綴っています。

デリケートなテーマに対して、

正面から取り組んでいて、

桃子さんの心情を描写しただけで、

本にしてしまった著者の筆力に

グイグイと引き込まれていく玉淑の一冊です。

タイトルは、宮澤賢治の詩「永訣の朝」の

「おら　おらで　ひとり逝く」から取られたとか、

賢治の詩では、「あの世へ逝く」の意味ですが、

本書では「自分らしく、一人で生きて行く」

という意味が伝わってきます。

★以下本文引用

そもそもおらにとって東北弁とは何なんだべ、

と別の誰かが問う。‥‥文省‥‥

東北弁とはおらの最古層のおらそのものである。

もしくは最古層のおらを汲み上げるストローのごときものである、と言う。

人の心は一筋縄ではいがねのす。

人の心には何層にもわたる層がある。

生まれたでの赤ん坊の目で見えている源基おらの層と、

後から生きんがために採用したあれこれのおらの層、

教えてもらったどいうか、教えこまされたどいうか、

こうせねばなんね、ああでねばわがねという常識などなんだのかんだの、自分で選んだと見せかけて選ばされてしまった

世知などが付与堆積ﾌﾖﾀｲｾｷして、

分厚く重なった層があるわけで、

つまりは地球にあるプレーどというものは

おらの心にもあるのでがすな。

おらしみじみ思うども、何事も単品では存在しね。

必ず類似模倣するものがあるわけで、

地球とおらも壮大な相似形を為ﾅすのでがす。

で、おらどの心にもあるプレートの東北弁は

その最古層、言ってみれば手つかずの秘境に、

原初の風景としてイメージのように漂っているのでがす。・・・・